26/1/29 灘中学校・灘高等学校 「公民科」

1.カリキュラム・授業の様子

 灘中学校・灘高等学校では、中学3年生の社会科(公民)の授業において、社会的課題を題材とした探究学習に取り組んでいます。同校司書教諭の狩野ゆき先生が、公民担当の池田拓也先生にRefNaviを紹介し、情報収集・整理のツールとして活用されています。

 見学した授業は、探究活動のまとめの段階にあたります。生徒は、2学期からテーマ設定や問いづくり、文献調査に加えてアンケート調査や聞き取り調査に取り組んでおり、この授業では、これまでRefNaviに登録してきた資料を参照しながら、結論の裏付けが十分か確認したり、発表に向けた整理を行ったりしていました。

 池田先生は、各グループを回って進捗状況を聞きながら、最終的な「問い」と「答え」の組み合わせを確認し、根拠となる情報が十分に集まっているかを生徒に問いかけます。生徒はRefNaviに登録した図書や記事、Web資料を確認し、どの資料がどの部分で使えるのか説明していました。
 

  池田先生の授業では、RefNaviの出力機能を用いて参考文献リストを印刷し、ポスターとは別紙で掲示するよう指示されている点が特徴的でした。RefNaviが「記録のためのツール」というよりも、「これまでの調査過程を振り返るための道具」として機能していることがうかがえました。

2.インタビュー

社会科池田先生

 公民を担当する池田先生は、探究学習において最も重視している点として、「生徒が扱うテーマをできるだけ自分事として捉えられるようにすること」だとおっしゃっていました。「やらされ探究」では、生徒のテーマはどうしても抽象的になりやすく、「どこか他人事になってしまう」傾向があったといいます。そのため現在は、「社会問題」というより広い枠組みの中で、各自が身近に感じられる問いを設定させる形に変更しているとのことです。

 情報源の種類に関しては、インターネット検索に偏らないよう、初期段階では「新書を読む」「白書を見る」「新聞記事を使う」といった指示をされているそうです。新書や白書は比較的読みやすく、かつ信頼性のある資料として紹介し、探究の入り口で活用するよう促しているとのことでした。

  RefNaviについては、最初あまり必要性を感じていなかったそうですが、狩野先生と話をするなかで、きちんと出典を示す重要性に気づかれたとのことです。また、発表の際に、見学者がポスターだけではなく資料リストを確認していることに、生徒が気づくことが重要とおっしゃっていました。口頭発表後に、情報収集の不足を自覚し、自発的に資料を探しにいった生徒もいたそうです。

司書教諭・狩野先生

 司書教諭の狩野先生は、「探究基礎」という時間を主に国語の時間枠に設定し、その中で学校図書館や情報活用の指導を行っています。具体的には、ジャパンナレッジSchoolや新聞記事データベースなどの有料データベースを取り上げ、検索方法だけでなく、「どのような場面で、どの情報源を使うとよいか」という観点から指導しているとのことでした。

 さらに、実際の資料活用の単元の際にはパスファインダー(※)を活用し、探究の進行段階に応じて、百科事典、新聞、新書、統計資料など、適切な資料の種類を段階的に示すことで、生徒が自分の調査段階に合った情報源を選択できるよう支援しているそうです。

※パスファインダー:(図書館)利用者に対して、特定の主題に関する各種情報資源や探索方法を紹介・提供する初歩的なツール。(中略)個々の資料・情報資源が人為的に重み付けされた上で解題を付してリスト化され、調べ方に関する解説もなされているため、単なるリストやリンク集とは異なる。(図書館情報学用語辞典第五版より)

 RefNaviの導入により、生徒がどのような資料を使っているかを把握しやすくなり、テーマに応じた資料をメッセージ機能を使って案内されています。また、参考文献リストをポスターに添付する運用については、「発表内容だけではなく、どんな資料を使って調べたかに注目が集まる」ことを意識させることができ、調査プロセスの可視化ができるという点を評価されていました。

3.まとめ

  灘中学校・灘高等学校の公民科における実践では、RefNaviは単なる文献管理ツールではなく、探究活動の「過程」を振り返り、共有するための基盤として活用されています。特に、まとめ段階において、登録済みの資料を参照しながら発表資料を調整し、参考文献一覧を簡単に出力し、ポスターの下部に別紙として掲示する運用は、調査の質そのものを意識化する仕組みとして興味深いものでした。

(庭井史絵)

26/1/29 灘中学校・灘高等学校 「公民科」
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